解決事例

社員の解雇

正当な理由に基づき、適切な手続きを踏めば、リスクなく解雇することができるという事例
ご依頼内容

従業員40名程度の法人の経営者の方より、以前より長期にわたり、パフォーマンス改善の指導をしているにも関わらず、まったく改善の兆しの見えない従業員につき、解雇したいが、法律に問題のない対応の仕方を教えてほしいとのことで、ご相談いただきました。

 

これまでの再三にわたる指導の結果から見ても、その従業員の職務遂行能力が不足していことは社内では明らかなことでしたが、経営者の方は能力不足を理由に解雇をするのはリスクが高いと考え、整理解雇という名目で、まとまった額の手当てを付与した上で、退職してもらうしかないと考えていらっしゃったそうです。

解決策

従業員のパフォーマンスに問題があり、改善されない場合は、最終手段として、適切な手続きを踏めば正当に解雇することができます。

 

この事例の場合、能力不足を理由にした解雇が正当と認められるためには、少なくとも次の手順を踏む必要があること、各過程につきすべて記録を残すことを説明しました。また、必要な場合には、当職らがオブザーバーとして、協議等に同席することも可能な旨もアドバイスしました。

 

  1. パフォーマンスの要求水準が雇用契約やポリシーなどに書面に明確に記載されているか及びその記載を当該従業員が認識しているかの確認。
  2. 管理部長等、第三者の立会いの下、当該従業員と下記の点につき話し合いの場を設ける。
  3. パフォーマンスの要求水準の再確認
  4. パフォーマンスが改善されない場合、解雇される可能性がある
  5. パフォーマンスを改善するための方法及びその期間の設定
  6. 会議の内容を記録し、記録内容を書面で当該従業員にも確認をしてもらう。
  7. パフォーマンスをモニターし、改善が十分ではない場合には、上記手順に従って指導を再度行う。
  8. 従業員が合理的な回数のパフォーマンス改善の機会を与えられたにもかかわらず改善しなかった場合には、最終通告を行い、異動・降格等の解雇の以外の解決策も含め、当該従業員と協議する機会を持つ。
  9. 最終的に、解雇はやむ終えないと言う決断に至った場合、必要事項を記載した解雇通知書を当事務所にて作成。
  10. 面談を設定し、解雇通知書に基づき、解雇を告知する。十分な解雇予告期間を設けるか、解雇予告手当てを支払う。

 

当事務所のアドバイスした手順に沿って、慎重に、十分に配慮した上で、指導及び通告を行っていただいたところ、従業員の方の理解を得ることもでき、トラブルもなく、会社を去っていただくことができました。

 

解雇というのは雇用主としても非常に苦渋の決断ですが、本件の場合、すでにその従業員に、特別な指導や追加サポートも含め、多額の資金を費やしていました。これ以上会社が不利益を被るのは、企業経営の観点からも、またパフォーマンス基準を満たしている他の従業員にとっても生産的ではないと苦しんでおられました。当事務所にご依頼いただくことにより、問題を解決することができ、非常に安堵したとのお礼のお言葉をお客様からいただきました。

職場のいじめ

判断の難しいいじめ問題を適切な措置を講じることにより穏便に解決した事例
ご依頼内容

30人程度の従業員を抱える法人のお客様より、従業員1名より社内いじめにあっているとの相談をうけており、労務管理の面から雇用主としてどのように対応したら良いのか困っているとのご相談をいただきました。

状況把握

まずは、問題を正確に把握するため、被害を訴えている人及び加害者とされている人からそれぞれヒアリングを実施。

  ↓

公正な判断をするため、実際にいじめがあったのか、関係者からの事情徴収を実施。

  ↓

その上で、雇用主として、法に従った適切な解決策を検討。

問題点
  • 当事者ら及び関係者からのヒアリング内容を総合してみたところ、法律に照らし合わせて、いじめがあったらどうかが法的に認められるか否かが非常に判断しづらい状況であった。
  • 加害者とされている人は、日本からの駐在員というポジションであったため、日本本社の就業規則も適応される。懲戒処分もその就業規則に則って決定されると定められていた。
  • しかし、雇用主である現地法人は、オーストラリアの法律に基づき適切な処置を講じたかの責任が問われるため、日本本社の就業規則にどこまで従うべきかも定かではなかった。
解決策

このように職場での問題が発生した場合、重要なのは、どのような処罰を最終的に下したかだけでなく、処罰を判断する過程においても、雇用主として適切な対応をしたかという点です。

 

本件の場合、仮に裁判になったとしても、いじめがあったと判断される可能性が不確かな案件であったため、加害者とされる人に過度に厳格な処罰を行うのは不適切でありますが、やはり被害を訴えている方の主張や気持ちも最大限考慮しつつ、雇用者として公正且つ適法な処置を講じる必要がある難しい状況でした。これらの事情を鑑み、当事務所から下記の解決策をアドバイスしました。

 

  • 迅速かつ適切な方法で加害者を休職処分とし、いじめの被害が広がる可能性を排除した。その後、事情聴取を行う手順と方法についてアドバイス。
  • 駐在員が、年に1度の人事異動の時期以外に、職務半ばにして日本への突然の帰国辞令を受けることは、非常に不自然であり、日本企業の企業風土を考慮すると、今後のキャリアにおいて必要以上に多大な不利益を被る可能性がある。そのため、4ヵ月後の定例人事異動が来るのを待った上で、当該駐在員の帰国の発令をすることを提案。この間、日本の人事担当者ともやり取りを行い、日本とオーストラリアの職場のいじめの基準の違い等を判例を挙げて説明。
  • 当該駐在員を、現地法人にて引き続き4ヶ月の雇用を行うことによる雇用主としてのリスクの説明及びそのリスクを最小限に留めるための対策の案内。
  • 被害を訴えている方との関係性を踏まえた上で、当該駐在員との接触が最も少ない配置に、加害者とされている駐在員のデスクを移動するよう提案。
  • 同様に、職場のキッチンなどを共同で使用することに関しても、当事者らの接触を最大限回避する配慮措置を講じることを提案。

 

その結果、被害を訴えていた方にも納得していただき、当該駐在員の方は無事残りの4ヶ月の勤務を終了され、日本に帰国されました。雇用主として、両者ともに大事な従業員でありましたので、有望な人材を失うことなく、雇用主としての責任を全うすることができ、現地法人及び日本法人ともに結果に非常にご満足いただけたようです。

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